先日、NHK「100分で名著」で社会学の本の紹介があったので何だろう。。社会学って難しそうで私には縁の遠いところにある気がして、すこし距離をおいて見ていたのですが冒頭に階級によって趣味が決められているという言葉にパジャマの私はドキンッとしたのでした。
私の木彫りも階級かっっ!
その番組で一番言いたかったことは、階級によって決められているんだよ残念!ということではなくて、その人が見てきたことがその人を形作るんだというようなことでした。
ハビトゥス …日常経験において蓄積されていくが、個人にそれと自覚されない知覚・思考・行為を生み出す性向。
私が今こうして木彫りに辿り着いたのも、きっとハビトゥスなんだということ。おじぃちゃんが作ってくれた子ども椅子、おばぁちゃんのトマトケチャップ、喘息で眠れない夜、雪を踏む音、暗い納屋の梯子、河川敷の犬の散歩、喫茶店のピラフそんな幼い頃からずっと見てきたこと感じたこと一つ一つが落ち葉のように重なって重なって染み出た養分を吸って私はできている。
趣味嗜好は階級で決まっていると聞くと何だか嫌な気持ちになるけれど、手に取りやすいところから始めるのはやっぱり自然なこと。ふと自分の部屋を見まわしてみる。使い古された道具たちや、いつか読もうと買った本たちがどっかりと居座っていて私はなんだか少し笑ってしまった。
「サンタ サンタ サンタ」 を無事に終えやっと3か月の集中から、ふっと力が抜けて、ハビトゥスという考え方を背中や後頭部あたりに落とし込んでいました。サンタさんの制作はとても充実した経験で、やってみたいことを思いきりできたと思っています。目線より上にあるステップを踏む時は、ぜんぶを持ってはいけません。何を置いて何を持っていこうか。自ら剥がれていくものもあれば、握りしめていたはずなのに指の間からサラサラとなくなっているものあったりして、私は思っていたよりも随分と身軽になってしまっていました。むしろ、心細いぐらいに。
6年前、初めて一人で手作り市に出店したあの日。3m四方のブースに小さなテーブルを一つ置いて敷物に腰を下ろしてブローチを売りました。あの時の私も本当に心細かったなぁと思い出します。でもなんでだろう。とっても自由で軽やかで風が気持ちよかったんですよね。
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