4月半ばから「檸檬」の創作に入りました。朗読のAsukaさんの「檸檬」を聴いて、今まで少し苦手だった朗読の世界が一変し、想像の世界が色鮮やかに再現されるかのように広がりました。この私の頭に浮かんだ世界が正解というわけではないのですが、少しでも誰かと共有できたら楽しいかもしれません。
作者でもある主人公の21歳から23歳ぐらいのお話になっているのですが、初めて写真を見た時の作品とのギャップにまず驚きました。なかなか彼の容姿に引っ張られて作品へと結びつけるのにどうすれば良いのか頭の中で考えていました。Asukaさんが図書館から借りてきてくれた梶井基次郎についての本に書かれている彼の経歴やエピソードに目を通してみると何となく腑に落ちるというか。理想と現実、生と死、憧れとコンプレックス、性欲と理性、才能と焦り、繊細さと大胆さ、理論的なはずなのに破綻していたりと、若いエネルギーを持て余し悶々とする日々の中に幼少に養われた健全な心が底明るく支えている感覚が作品に滲み出ている気がします。そのなり切れない優しさに焦点をあてて創作をしていこうかなと思っています。
私にとって珍しい和装の男性に挑戦です。平安蚤の市で古着物を探しに行ったり、明治、大正時代に使われていたガラスや鉛筆などを調べて見ていると私はやっぱりこの年代あたりが好きなんだなと改めて思います。
梶井基次郎を調べていると、日向で大きな熊が小さな花を観ているような静かな時間を感じる作品もあります。逸話の記事を読むとほんとかな?と信じがたい行動は、彼の青春期と病気の不安定さからくるのかなという気もしますが、梶井基次郎に早い死が待っていなければ、数々の作品が生まれていなかったかもしれません。もしも健全な体と心で長生きできたなら、どんな作品が晩年に生まれていたのかなと思うと惜しい気持ちにもなります。
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